『ダンディズム〜栄光と悲惨』
中央公論新社発行(1999年)
生田耕作著(敬称略)
日本のフランス文学者・評論家。1975年に著された『ダンディズム』に数編を追加収録した上で、99年に中央公論新社により完全版として刊行されたもの。ダンディズムの祖である『ボー・ブランメル』の生涯に焦点を当て、彼を神格化したフランスの文学者たちの注釈なども絡めながら、ダンディズムの本質とは何かに迫る名著。
追加収録された章では、フランス文学者でありブランメルとダンディズムを、神性の位置にまで高めた『バルベー・ドールヴィリー』の生涯も少し垣間見ることができる。単なる洒落者という外的な側面よりも、精神性などの内面にフォーカスを当て、その普遍性を探る著者のスタンスが印象的。ダンディズムとは何かの本質に迫るならオススメの一書。