『紳士靴を嗜む〜はじめの一歩から極めるまで』
朝日新聞出版(2010年)
飯野高広著(敬称略)
氏の著書である『紳士服を嗜む』の靴バージョンと言ったところでしょうか。足の骨の作りに始まり歩き方や靴の合わせ方、靴そのものの部位や製法による違い、革の種類や手入れの仕方など、縦横無尽の角度から学べます。磨き方やブランドの蘊蓄に留まることが無い、靴そのものの本質と向き合い方を身に付けるには本著書が一番。デザインだけで選ぶものでは決してないということがわかります。自分にとっても、場にとっても相応しい革靴であるかどうか、見つめなおしてみましょう。
『嗜む』とは、
趣味などを学び身に付ける
自らの行いを慎み、気を付ける
あらかじめ用意し心掛ける
身なりをきちんと整える
と冒頭で定義されている氏の考え方は、とても大事で深く共感できるところです。『ファッション』という言葉には、外面的な軽さや個性だけが先行してしまいがちではありますが、本来は内面を整えるための『身嗜み』という要素が根底に敷き詰められています。ど本書で少しでも本質を学ぶ紳士が、増えていけば幸いです。