洋服好きの中でその名を知らない方はいないだろう存在。
ダンディズムの祖であり、現代紳士服の礎となっている「ボー・ブランメル」こと、『ジョージ・ブライアン・ブランメル』(1778〜1840)。名前こそ昔から聞いたことはあったのだが、さほど興味も無くそれ以上調べる事もせず生きてきた。45歳を迎える本年になってから、『ダンディ』と言われることが増え、そもそもの源流を調べ始めた。そうして彼の人生を改めて知ることになる。(画像引用元:
ja.wikipedia.org.ボー・ブランメル/)
英国社会は階級社会。今でさえ傍目では民主化しているようにも見える。王室は当然だが、社会的にもその名残は根深く残っているようだ。この辺りは1993年発刊のマークス寿子さん、池田雅之さんの共著書『英国貴族と侍日本』でもその様子を垣間見ることができる。
著書が発刊された20世紀においてもこのような状態の中、彼が生きた19世紀初頭はなおのこと階級意識は強いものであった。前回の記事でも少し触れたが、フランス革命による階級社会の崩壊と、民主化による流れで貴族階級のアイデンティティは脅かされ始める。産業革命による富裕層の増化が成り上がりを生み、社会的地位を得るために社交界へ進出してき始めた頃。
貴族たちが貴族らしさを失いつつあったこの頃、明確に成り上がりとの境界線を引くことで、自分たちのアイデンティティを誇示する必要性があった。そのツールとなったのが『装い』と『振る舞い』であり、『ダンディズム』という概念である。『ダンディ』という言葉はこの当時には用いられず、彼に影響を受けたフランスの文学者たちによって、定義されていくことを申し上げておこう。